近年、マンションの老朽化や管理組合の担い手不足が社会問題となる中、マンション管理の質を高めるための新たな指標として「マンション管理計画認定制度」が注目されています。2022年4月に本格始動したこの制度は、適切な管理計画を持つマンションを地方公共団体が認定するもので、資産価値の維持向上や様々な優遇措置にも繋がる可能性があります。
しかし、その詳細な内容や手続き、メリット・デメリットについては十分に理解されていない側面もあります。本記事では、マンション管理計画認定制度の目的や背景から、具体的な認定基準、申請方法、管理組合や居住者にとっての効果、さらにはマンション管理士や行政書士といった専門家の役割、制度の普及状況と将来展望に至るまで、あらゆる角度から徹底的に解説します。この制度を深く理解し、あなたのマンションの未来を考える一助となれば幸いです。
1. はじめに
1.1 マンション管理を取り巻く現状と課題
日本の都市部を中心に、マンションは不可欠な居住形態として定着しており、2023年末時点で全国のマンションストック総数は約704.3万戸に達し、推計で1,500万人以上、国民の1割超が居住しています 。しかし、これらのマンションストックは急速に高経年化という課題に直面しています。築40年を超える、いわゆる「高経年マンション」は2022年末時点で約125万戸 (別の資料では81.4万戸 )存在し、今後10年で約198万戸、20年後には約367万戸へと急増することが見込まれています 3。川崎市の事例では、小規模マンションの割合が高く、全国平均よりも急速な高経年化が進行している状況も報告されています 。
このストックの老朽化は、建物の物理的な劣化に留まらず、外壁の剥落、耐震性の低下、アスベスト飛散といった安全上のリスク増大 5、さらには大規模な修繕や、場合によっては建替えの必要性を生じさせますが、実際の建替えは進んでいないのが現状です 。
同時に、マンション居住者の高齢化や、所有者が居住しない「非居住化」も進行しています 。これにより、管理組合の役員のなり手不足(担い手不足)が深刻化し 、多様な価値観や経済状況を持つ区分所有者間での合意形成が一層困難になっています 。特に、大規模団地型マンションでは、入居者が同時期に高齢化することによる合意形成の難しさが指摘されています 。
歴史的に見ても、マンション管理には課題が存在しました。区分所有者や管理組合における専門知識の不足 5、管理に対する意識の低さ 5、そして管理会社が預かる修繕積立金等の会計処理に関する法的な規定の不備(例えば、管理会社の財産との分別管理が徹底されず、倒産時に資金が失われるリスク) 5 などが挙げられます。これらの問題は、管理組合が十分な監視能力を持たないまま管理会社に依存する構造を生み出していました 5。
これらの要因が複合的に作用することで、「管理不全」に陥るマンションが増加する懸念が高まっています。管理不全は、単に建物の劣化を加速させるだけでなく、最悪の場合、建物の廃墟化を招き、周辺環境への悪影響や、行政代執行による解体といった事態を引き起こす可能性があります。滋賀県で発生した事例では、行政代執行に1億円以上の費用を要したものの、所有者からの費用回収は3分の1程度に留まったと報告されており、管理不全がもたらす社会的コストの大きさを示唆しています 8。
このように、建物の老朽化と、それを管理・維持すべき居住者・管理組合側の機能低下が同時に進行している点が、現代日本のマンション管理における最も深刻な課題と言えます。建物の維持・修繕には、より複雑で高コストな意思決定が求められる一方で、管理組合の意思決定能力や実行力は、役員のなり手不足、専門知識の欠如、合意形成の困難化によって弱体化しているのです 3。この需給のミスマッチが、管理不全リスクを高める根本的な構造となっています。
さらに、数百万戸に及ぶ高経年マンションの問題は、個々の建物の問題を超え、日本の都市における重要な社会課題、都市計画上の課題として認識される必要があります。管理不全マンションの増加は、周辺地域の安全性低下、景観の悪化、不動産価値の下落を招き、最終的には行政による介入(行政代執行など)が必要となる場合、多大な公的負担を生じさせる可能性があります 3。こうした背景が、国や地方公共団体による積極的な対策の必要性を高めています。
1.2 マンション管理適正化法の改正と本制度創設の背景
こうした深刻化する課題に対応するため、2020年に「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」(以下、マンション管理適正化法)が改正され、2022年4月から施行されました 9。
2001年に制定された当初のマンション管理適正化法は、区分所有者の知識不足や管理会社の会計処理の不透明性といった問題に対処することを目的とし、管理会社に対する登録制度や、管理組合を支援する専門家としてのマンション管理士資格などを導入しました 5。
しかし、前述の通り、高経年マンションの急増と管理組合の機能低下という新たな課題が顕在化する中で、従来の管理組合の自主性に委ねるアプローチだけでは限界があることが明らかになりました 9。そこで、2020年の法改正では、マンション管理の適正化をより積極的に推進するため、新たな枠組みが導入されました 5。
改正法の大きな柱の一つが、地方公共団体の役割強化です。地方公共団体は、必要に応じて管理組合に対して助言、指導、さらには勧告を行う権限が付与されました 9。また、地方公共団体が主体的に地域のマンション管理適正化を推進するための計画、「マンション管理適正化推進計画」を作成できる制度も設けられました 11。
そして、もう一つの重要な柱として創設されたのが、「マンション管理計画認定制度」です 2。これは、一定の基準を満たす管理計画を持つマンションを地方公共団体が認定し、その情報を公開することで、適切な管理が行われているマンションが市場で評価され、管理組合の自主的な取り組みを促すことを目的としています 2。
この2020年の法改正は、日本のマンション管理政策における重要な転換点を示しています。従来の管理組合の自主性を基本としつつも 9、深刻化する課題に対応するため、地方公共団体による積極的な関与(指導・助言)と、市場原理を活用したインセンティブ(認定制度)を組み合わせた、より多角的で介入的なアプローチへと移行したのです 9。
この新しい枠組み全体が目指すのは、単に優良な管理組合を表彰することに留まらず、日本全体のマンション管理水準の底上げであると考えられます。認定制度は積極的に管理改善に取り組む管理組合を評価・支援する一方で、地方公共団体による助言・指導・勧告の権限は、管理が不十分なマンションへの働きかけを可能にします 14。さらに、地方公共団体が策定する「マンション管理適正化推進計画」は、地域の実情に応じた管理の目標や基準を設定する役割を担います 13。これらが一体となって機能することで、マンション管理セクター全体のパフォーマンス向上を図ることが意図されているのです 11。
1.3 本レポートの目的と構成
本レポートは、このマンション管理計画認定制度について、その目的、法的根拠、認定基準、申請手続き、メリット・デメリット、将来のマンション価値への影響、専門家(マンション管理士、行政書士)の役割、制度の普及状況、そして将来展望に至るまで、あらゆる側面から包括的かつ詳細に解説することを目的とします。
以下、本レポートでは次の構成で論を進めます。
第2章では、制度の基本的な定義、目的、法的根拠、認定主体としての地方公共団体の役割、認定の有効期間について概説します。
第3章では、認定を受けるための具体的な基準(国が定める基準と地方公共団体の独自基準)、申請手続きの流れ、必要書類、手数料、そして関連する事前確認制度や新築マンション向けの予備認定制度について詳述します。
第4章では、認定取得による効果とメリットを、管理水準の向上、長期修繕計画の実効性、合意形成の促進、財政的インセンティブ(融資優遇、税制優遇)、市場評価の向上といった観点から分析します。
第5章では、制度に伴うデメリットや課題、特に管理組合の負担増、合意形成の難しさ、手続きの複雑さ、認定維持の困難さ、そして実際の苦労事例について考察します。
第6章では、認定の有無が将来的なマンションの資産価値や市場評価、売却可能性に与える影響について、専門家の見解や市場データを交えながら評価します。
第7章では、マンション管理士と行政書士が本制度に関して果たすべき具体的な役割、専門性、貢献内容、そして両者の役割分担と連携のあり方について明らかにします。
第8章では、日本全国における本制度の導入・普及状況に関する統計データや事例を示し、制度の将来的な展望、改正の可能性、長期的な影響について考察します。
最後に第9章で、本レポート全体の分析結果を総括し、制度の意義を再確認するとともに、管理組合への推奨事項と今後のマンション管理における本制度の重要性について述べます。
2. マンション管理計画認定制度の概要
2.1 制度の定義と目的
マンション管理計画認定制度とは、マンションの管理組合が、自ら作成した当該マンションの管理に関する計画(管理計画)を、そのマンションが所在する都道府県または市・特別区(以下、都道府県等)に提出し、その計画が法律で定められた一定の基準を満たしている場合に、地方公共団体の長から認定を受けられる制度です 2。
この制度は、前述したマンション管理適正化法の改正により創設されたものであり 2、その根底には、高経年化が進むマンションストックの現状と、それに伴う管理上の課題(建物の老朽化、管理組合の担い手不足、修繕積立金不足など)があります 2。
制度の主たる目的は、「マンション管理の適正化を推進する」ことにあります 2。具体的には、以下の二つの側面が重要です。
第一に、管理組合による管理の適正化に向けた自主的な取り組みを促すこと 12。認定基準をクリアするためには、管理組合は自らの管理状況を見直し、計画的な修繕の実施や適切な運営体制の構築など、管理水準の向上に努める必要があります。
第二に、適正に管理されているマンションが市場において適切に評価される仕組みを構築すること 2。認定を受けたマンションの情報が公開されることで、購入希望者や金融機関などがそのマンションの管理状況を客観的に把握しやすくなり、結果として市場価値の向上につながることが期待されます。
2.2 法的根拠:マンション管理適正化法における位置づけ
本制度は、マンション管理適正化法に明確に位置づけられています 2。具体的には、同法第5条の3において、管理組合の管理者等が管理計画を作成し、都道府県等の長に認定を申請できる旨が規定されています 16。
この認定制度は、改正法における他の重要な規定と連携して機能します。例えば、国が定める「マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針」(管理適正化指針) 11 は、認定基準の根拠となる考え方を示しています。また、地方公共団体が作成する「マンション管理適正化推進計画」 11 は、認定制度を実施するための前提条件であり、地域の実情に応じた施策の方向性を示すものです。さらに、地方公共団体に付与された管理組合への助言・指導・勧告の権限 9 は、認定制度と補完しあいながら、管理不全に陥るマンションを未然に防ぐ役割を担います。
2.3 認定主体:地方公共団体の役割
管理計画の認定を行う主体は、マンションが所在する地方公共団体の長(都道府県知事または市区町村長)です 13。ただし、どの地方公共団体でも認定申請が可能というわけではありません。認定制度を実施できるのは、法律に基づき「マンション管理適正化推進計画」を作成した地方公共団体に限られます 11。
具体的には、市および東京都の特別区が推進計画を作成した場合、その区域内のマンションについては当該市区長が認定を行います。市町村が推進計画を作成していない区域については、都道府県知事が認定主体となります 13。国土交通省は、推進計画の作成状況に関する一覧を公表しており、申請を検討する管理組合は、まず自らのマンションが所在する地方公共団体が制度を実施しているかを確認する必要があります 19。令和4年度末時点では全国のマンションの6割超、令和5年度末時点では8割超が認定制度の対象となる見込みとされており、特に政令指定都市や東京都特別区では全ての団体が、県庁所在地や中核市でも9割以上が計画作成意向を示すなど、急速に普及が進んでいます 33。
地方公共団体は、国が定める基本的な認定基準に加えて、地域の特性(例えば、災害リスクの高さ、マンションのストック状況、地域コミュニティとの連携の必要性など)を踏まえた独自の認定基準(上乗せ基準)を設けることができます 2。例えば、東京都港区では、社会貢献に関する取り組みを評価する「みなと認定マンションプラス」という独自の認定区分を設けています 23。また、大田区では、防災訓練の実施や町会・自治会との連携体制などを独自基準としています 27。したがって、認定を申請する管理組合は、国の基準だけでなく、所在地の地方公共団体が定める独自基準も満たす必要があります 2。
このように、マンション管理計画認定制度は、国が基本的な枠組みを定めつつも、その実施と運用は地方公共団体に委ねられています。この地方分権的な仕組みは、地域の実情に合わせた柔軟な対応を可能にする一方で、認定基準や手続きが地域によって異なる可能性を生み出します。申請を検討する管理組合や支援を行う専門家にとっては、全国一律の基準だけでなく、各地方公共団体の具体的な運用ルールを個別に確認する必要があり、これが制度の複雑性を増す一因ともなっています 2。
また、地方公共団体は、単なる認定機関としてだけでなく、推進計画の策定、独自基準の設定、さらには助言・指導・勧告といった、より積極的な役割を担うことになります 16。これらの新たな責務を効果的に果たしていくためには、専門的な知識を持つ人材の育成や体制整備が不可欠であり、特に財政力や職員数が限られる中小規模の自治体にとっては、これが大きな負担となる可能性も指摘されています 16。
2.4 認定の有効期間と更新
管理計画の認定には有効期間が定められており、その期間は認定を受けた日から5年間です 14。
認定の効果を継続させるためには、有効期間が満了する前に更新の手続きを行う必要があります 14。更新申請を行い、再度認定基準を満たしていると認められれば、認定期間が更新されます。更新後の有効期間は、従前の認定有効期間の満了日の翌日から起算して5年間となります 38。
注意点として、有効期間の満了日が近づいても、地方公共団体から個別に更新案内等の通知が行われることは通常ありません 25。管理組合は自ら有効期間を管理し、期限内に更新申請を行う必要があります。更新申請を怠り、有効期間が満了した場合、認定は失効します 25。
この5年ごとの更新制度は、認定が単なる一過性のものとならず、認定を受けたマンションが継続的に管理水準を維持・向上させていくことを促すための重要な仕組みです。マンションを取り巻く状況(建物の経年劣化、法制度やガイドラインの改正、社会経済状況の変化など)は常に変化するため、定期的な見直しと再評価を通じて、管理計画の有効性を保つことが求められます。例えば、長期修繕計画や修繕積立金に関する国のガイドラインが改訂された場合 2、更新時には新しい基準への適合が必要となる可能性があります。この更新プロセスは、管理組合にとって継続的な努力を要求するものであると同時に、管理の質を維持・向上させるための重要な契機ともなり得ます 14。
3. 認定基準と申請手続き
マンション管理計画認定制度は、どのような法律に基づいて運用されているのでしょうか。この章では、根拠法である「マンション管理適正化法」の改正内容に触れつつ、誰が認定を行い、どのマンションが対象となるのか、そして認定の有効期間や更新手続きといった制度の基本的な枠組みを明らかにします。
3.1 国の定める主な認定基準
国が定める主な認定基準は、マンション管理適正化法第5条の4、同法施行規則、および国の基本方針に基づき定められており、大きく分けて「管理組合の運営」「管理規約」「管理組合の経理」「長期修繕計画の作成及び見直し等」「その他」の5つのカテゴリーに分類されます 11。全国共通の基準項目は約16項目存在します 2。これらの基準は、多くの場合、「マンション標準管理規約」「長期修繕計画標準様式・作成ガイドライン」「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」といった国の主要なガイドラインの内容を反映したものとなっています 28。
以下に、各カテゴリーにおける主な基準を示します。
① 管理組合の運営 24
- 管理者等が選任されていること(区分所有法に基づく管理者または管理組合法人の理事)2。
- 監事が選任されていること 2。
- 集会(総会)が年1回以上、定期的に開催されていること 2。これには、定期総会だけでなく臨時総会も含まれます 25。
② 管理規約 24
- 管理規約が作成されていること 2。
- 管理規約において、以下の事項が定められていること。
- 災害等の緊急時や、点検等管理上必要な場合における専有部分への立ち入りに関する定め 2。
- 修繕等の履歴情報の管理・保管に関する定め 2。
- 管理組合の財務・管理に関する情報(決算書類等)を区分所有者等へ書面交付または電磁的方法で提供することに関する定め 2。
③ 管理組合の経理 24
- 管理費と修繕積立金等が明確に区分して経理されていること(区分経理)2。
- 修繕積立金会計から、管理費会計など他の会計への充当がされていないこと 2。
- 修繕積立金の滞納に対して適切に対処されていること。具体的には、申請直前の事業年度の終了日時点において、修繕積立金を3ヶ月分以上滞納している区分所有者の滞納額合計が、管理組合全体の修繕積立金徴収予定額(年間)の1割以内であること 2。滞納月数の計算は、当該事業年度内での累計月数で判断されます 43。
④ 長期修繕計画の作成及び見直し等 24
- 長期修繕計画が、国土交通省の示す「長期修繕計画標準様式」に準拠して作成されていること 28。
- 長期修繕計画の内容、およびそれに基づき算定された修繕積立金の額について、集会(総会)で決議(承認)されていること 46。
- 長期修繕計画の作成または見直しが、申請日から遡って7年以内に行われていること 22。
- 長期修繕計画の計画期間が30年以上であること 19。
- 計画期間のうち、申請日以降の残存期間内に、大規模修繕工事が2回以上含まれるように設定されていること 19。
- 長期修繕計画において、将来の一時的な修繕積立金の徴収(一時金徴収)を予定していないこと 22。
- 長期修繕計画の計画期間全体で必要な修繕積立金の総額から算定された修繕積立金の月額(平均額)が、国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」に示す水準と比較して、著しく低額でないこと 2。ガイドライン改訂により目安額が大幅に引き上げられており 2、水準を下回る場合は専門家(マンション管理士等)による「著しく低額でない理由書」の提出が必要となる場合があります 28。
- 長期修繕計画の計画期間の最終年度(30年目以降)において、管理組合の借入金の残高がない(完済されている)計画となっていること 22。
⑤ その他 24
- 管理組合が、区分所有者等への平常時の連絡および災害等の緊急時に迅速な対応を行うため、組合員名簿および居住者名簿を備えており、かつ、それらの名簿の内容を年1回以上確認していること 2。管理会社が保管している場合でも、必要時に速やかに情報提供を受けられる体制であれば認められます 35。地方公共団体によっては、名簿に要援護者情報の記載を求める場合があります 35。
- 管理計画の内容が、マンションの所在地の都道府県等が定める「マンション管理適正化指針」に照らして適切なものであること 47。
これらの基準は、マンション管理における「手続きの適正さ」(総会開催、規約整備、会計処理など)と、「将来への備え」(特に長期修繕計画とそれに基づく資金計画)を重視していることがわかります。適切な管理運営を行うための基本的な枠組みが整備されているか、そして将来にわたって建物を維持していくための計画性と財政的裏付けがあるか、という点が評価の核となっています 2。
一方で、これらの基準は主に計画やプロセスの「存在」や「形式」を確認するものであり、その「質」や「実行度合い」、あるいは建物の「現状の物理的な状態」を詳細に評価するものではない点には留意が必要です。例えば、長期修繕計画が存在し形式的な要件を満たしていても、その計画内容の技術的な妥当性や、過去の修繕工事の品質までを保証するものではありません。この点において、より多くの項目(約30項目)を評価し、建物・設備の点検状況なども含めて評価する民間の「マンション管理適正評価制度」などとは性格が異なります 2。したがって、認定制度はあくまでも「適切な管理を行うための基盤が整っているか」を評価する制度と理解するのが適切でしょう。
表1:国の定める主な認定基準の概要
カテゴリー | 主な基準内容 | 主な確認書類(例) |
管理組合の運営 | 管理者等・監事の選任、年1回以上の集会(総会)開催 | 総会議事録(選任決議、開催実績) |
管理規約 | 管理規約の作成、緊急時等の専有部立入り・修繕履歴管理・財務情報提供に関する規定 | 管理規約の写し |
管理組合の経理 | 管理費・修繕積立金の区分経理、修繕積立金の他会計への不充当、修繕積立金の3ヶ月以上滞納率1割以内 | 前年度決算書類(貸借対照表、収支計算書)、各戸別滞納状況がわかる書類 |
長期修繕計画(LTRP)等 | 標準様式準拠、総会決議、7年以内の作成/見直し、計画期間30年以上、残存期間内大規模修繕2回以上、一時金徴収なし、平均積立額が著しく低額でない、計画最終年度借入金残高なし | 長期修繕計画の写し、LTRP承認の総会議事録、(必要に応じ)専門家による理由書 |
その他 | 組合員名簿・居住者名簿の整備と年1回以上の更新、都道府県等適正化指針への適合 | 名簿の整備・更新に関する表明保証書等 |
(注) 上記は主な基準の概要であり、詳細は関係法令・ガイドライン及び各地方公共団体の定めをご確認ください。
3.2 地方公共団体による独自基準
前述の通り、地方公共団体は、国の基準に加えて独自の基準(上乗せ基準)を設定することができます 2。これは、各地域が抱える特有の課題や政策目標を認定制度に反映させるためです。申請する管理組合は、国の基準と地方公共団体の独自基準の両方を満たす必要があります 2。
独自基準の内容は地方公共団体によって様々です。例として、以下のようなものが挙げられます。
- 東京都港区: 「みなと認定マンションプラス」として、環境配慮、防災・防犯、コミュニティ形成、バリアフリー、地域貢献のいずれかの選択基準を満たすことを求めています 23。
- 東京都大田区: 地域の町会・自治会との連絡調整役の選任や、防災訓練の実施(最低2年に1度程度を推奨)などを求めています 27。
- 横浜市: 市独自の「横浜市マンション管理適正化指針」への適合を求めています 22。
- その他: 理事会の開催頻度、耐震診断の実施状況、消防訓練の実施などが独自基準として設定される可能性も指摘されています 42。
これらの独自基準の有無や具体的な内容については、マンションが所在する地方公共団体のウェブサイトを確認するか、担当部署に直接問い合わせる必要があります 18。国土交通省が公表している推進計画作成状況一覧にも、独自基準の有無に関する情報が含まれている場合があります 19。
地方公共団体による独自基準の存在は、制度の画一性を排し、地域の実情に応じたきめ細やかな対応を可能にするメリットがある一方で、申請者にとっては確認すべき事項が増え、手続きがより複雑になるという側面も持ち合わせています。特に、複数の地域でマンション管理に関わる専門家や管理会社にとっては、地域ごとのルールの違いを把握し、対応していくことが求められます 2。
3.3 申請手続きの流れ(総会決議、申請方法、必要書類、手数料)
管理計画の認定を申請するための手続きは、概ね以下の流れで進められます。
① 総会決議
まず、認定申請を行うことについて、管理組合の集会(総会、臨時総会を含む)で決議を得る必要があります 18。この総会決議の議事録は、申請時の必須書類の一つとなります 11。
② 申請方法
申請方法には、主に二つのルートがあります。
- 地方公共団体への直接申請: 申請書と添付書類を、マンションが所在する市区または都道府県の担当窓口に直接提出する方法です 18。紙媒体での申請が基本となる場合が多いですが、地方公共団体によっては電子メールや独自の電子申請システムを利用できる場合もあります 53。紙申請の場合、オンライン申請に比べて手数料が高く設定されていることが多いです 2。
- (公財)マンション管理センターの支援サービスを利用したオンライン申請: 公益財団法人マンション管理センターが提供する「管理計画認定手続支援サービス」を利用する方法です 11。このサービスでは、インターネット上で必要情報を入力すると申請書が自動生成され、多くの場合、後述する「事前確認」を経て、オンラインで地方公共団体への申請手続きが完結します。地方公共団体もこのオンラインシステムの利用を推奨しており、システム経由での申請に対しては紙の書類提出を求めないよう要請されています 16。オンライン申請の場合、地方公共団体への手数料が低く設定される傾向があります 2。
③ 必要書類
申請に必要な書類は、地方公共団体によって若干異なる場合がありますが、一般的には以下のものが求められます 11。
- 認定申請書(新規・更新・変更に応じて所定の様式)11 (紙申請の場合は正副2部提出が多い 25)
- 認定申請を行うことを決議した総会の議事録の写し 11
- 管理規約の写し 11
- 申請直前の事業年度の決算書類(貸借対照表、収支計算書等)11
- 申請直前の事業年度における修繕積立金の各戸別滞納状況がわかる書類 11
- 長期修繕計画の写し 11
- 組合員名簿・居住者名簿の整備状況に関する書類(表明保証書など)11
- 管理者等や監事の選任に関する総会議事録の写し(必要な場合)53
- その他、地方公共団体の独自基準に関する書類など
④ 手数料
認定申請には、通常、以下の費用が発生します。
- 地方公共団体の手数料: 認定審査にかかる手数料で、金額は地方公共団体や申請方法(直接申請かオンライン申請か)によって大きく異なります 2。
- 例:東京都(町村部)ではオンライン申請が4,100円、紙申請が29,000円 2。福岡市では直接申請が23,500円(長期修繕計画1つの場合)、事前確認を経たオンライン申請が3,500円(別途MMC手数料等が必要)53。横浜市では事前確認後の市への手数料は約4,000円 22。長岡市のように事前確認を経た場合は市の手数料が無料となる自治体もあります 50。大田区のように申請前に事前相談を必須としている場合もあります 25。
- マンション管理センター(MMC)のシステム利用料: オンライン支援サービスを利用する場合に発生し、1申請あたり10,000円(税別)です 2。
- 事前確認審査料: オンライン申請で事前確認を行う場合に、事前確認を実施するマンション管理士や関連団体に支払う手数料です 2。金額は依頼先によって異なり、管理組合とマンション管理士等との間で個別に決定される場合(パターン①、②)や、MMCが定める料金(パターン④:長期修繕計画1計画あたり10,000円、ただし令和4年度は無料)26、関連団体のサービス利用料に含まれる場合(パターン②、③)があります 26。
⑤ 審査と認定
提出された申請書類に基づき、地方公共団体が国の基準および(設定されていれば)独自の基準に適合するかを審査します 18。オンライン申請で事前確認を経ている場合は、地方公共団体は事前確認適合証をもって国の基準への適合性を確認することが多く、審査負担が軽減されます 26。審査の結果、基準を満たしていると判断されれば、認定通知書が交付されます 42。審査には、書類確認のほか、必要に応じてヒアリングや現地確認が行われることもあり、申請から認定通知まで1~2ヶ月程度の期間を要する場合もあります 35。
⑥ 変更申請
認定を受けた管理計画の内容に、国土交通省令で定める「軽微な変更」43 以外(例:単独の管理者の変更、管理組合の法人化、認定基準に関わる管理規約の変更など 43)の変更が生じた場合は、変更認定申請を行い、改めて認定を受ける必要があります 25。変更申請には、マンション管理センターの支援サービスが利用できない場合があります(例:大田区 25)。
表2:申請手続き方法の比較
項目 | 直接申請(地方公共団体へ) | オンライン申請(MMC支援サービス利用) |
主な流れ | 1. 総会決議 → 2. 書類準備 → 3. 窓口/郵送/電子等で申請 → 4. 地方公共団体による審査 → 5. 認定通知 | 1. 総会決議 → 2. MMCシステムで情報入力・書類アップロード → 3. 事前確認依頼(パターン①~④)→ 4. 事前確認実施・適合証発行 → 5. MMCシステム経由で地方公共団体へ申請 → 6. 地方公共団体による審査(主に独自基準等)→ 7. 認定通知 |
主な必要書類 | 申請書、総会議事録、管理規約、決算書類、滞納書類、LTRP、名簿関係書類 等 | 同左(システム上でアップロード)+ 事前確認適合証(パターン①~④の場合) |
主な費用 | ・地方公共団体手数料(比較的高額な場合が多い) | ・地方公共団体手数料(比較的低額な場合が多い、または無料の場合も)<br>・MMCシステム利用料(1万円税別)<br>・事前確認審査料(依頼先により異なる) |
メリット | ・MMCシステム利用料・事前確認料が不要<br>・オンライン手続きが苦手な場合に選択可能 | ・地方公共団体手数料が安価な傾向<br>・手続きのオンライン完結による利便性<br>・事前確認による国の基準適合性の事前チェック<br>・地方公共団体の審査負担軽減 |
デメリット | ・地方公共団体手数料が高額な場合が多い<br>・書類準備・提出の手間<br>・事前確認がないため、不備のリスク | ・MMCシステム利用料・事前確認料が発生<br>・オンライン手続きに慣れが必要<br>・事前確認は国基準のみ(独自基準は別途確認要) |
(注) 上記は一般的な比較であり、詳細は各地方公共団体及びMMCの案内をご確認ください。
3.4 事前確認制度
オンライン申請(上記②のMMC支援サービス利用)を選択する場合、多くの場合「事前確認」という手続きが組み込まれています。
事前確認とは、管理組合が地方公共団体に正式な認定申請を行う前に、その管理計画が国の定める認定基準に適合しているかどうかを、専門家が事前にチェックする仕組みです 14。この制度の目的は、申請書類の不備を減らし、申請手続きを円滑化すること、そして地方公共団体の審査負担を軽減することにあります 14。
事前確認を行うことができるのは、マンション管理センターが実施する「事前確認講習」を修了したマンション管理士に限られます 14。
重要な点として、利益相反を避けるため、当該マンションの管理者等や監事、区分所有者本人、そして管理を委託されている管理会社の当該マンション担当者であるマンション管理士は、そのマンションの事前確認を行うことができません 28。ただし、管理会社に所属していても、当該マンションの担当者でなく、講習を修了し利益相反に該当しないマンション管理士であれば、事前確認を行うことは可能です 58。
事前確認の手続きは、通常、マンション管理センターのオンライン支援サービスを通じて依頼されます 11。依頼を受けたマンション管理士は、提出された管理計画や関連書類を国の認定基準に照らして審査します 14。基準に適合していると判断されると、マンション管理センターからシステム上で「事前確認適合証」が発行され 11、これが地方公共団体への正式申請時に添付されます 50。
ただし、事前確認の対象はあくまで国の定める認定基準のみです。地方公共団体が独自に設定している基準については、事前確認の対象外となるため、申請者は別途、地方公共団体の基準を確認し、適合性を確保する必要があります 26。
事前確認を利用する申請パターンには、以下のものがあります。
- パターン①: 管理組合が、事前確認講習を修了した独立系のマンション管理士に直接依頼する 26。
- パターン②: 管理を委託している管理会社等を経由して依頼する。この場合、一般社団法人マンション管理業協会が提供する「マンション管理適正評価制度」と連携し、ワンストップで申請できる場合があります 28。
- パターン③: 一般社団法人日本マンション管理士会連合会を経由して依頼する。こちらも、同連合会が提供する「マンション管理適正化診断サービス」と連携したワンストップ申請が可能です 27。
- パターン④: 管理組合がマンション管理センターに直接、事前確認を依頼する 26。
事前確認制度は、国の基準に関するチェックを前倒しで行うことで、地方公共団体への申請後のプロセスを効率化する狙いがあります 14。しかし、申請者にとっては、事前確認というステップが加わること、どのパターンを選択するか、依頼先の選定(利益相反の確認含む)、そして事前確認審査料という追加コストが発生することから、手続きの複雑性が増す側面もあります 28。管理組合は、これらのメリット・デメリットを考慮し、自らの状況に合った申請方法を選択することが重要です。
3.5 新築マンション予備認定制度
既存マンションを対象とする管理計画認定制度とは別に、新築マンションを対象とした「予備認定制度」も設けられています 11。
この制度の目的は、マンションが分譲される段階から適切な管理計画(管理規約案や長期修繕計画案など)が準備されていることを評価し、良質な管理体制を備えたマンションを市場に供給することにあります 14。将来の管理不全リスクを、建物の企画・分譲段階から低減しようという、いわば上流での品質管理の試みです。
予備認定の申請者は、通常、マンションの分譲事業者や再開発事業の施行者であり、多くの場合、管理を受託する予定の管理会社と連名で申請します 14。
認定主体は、既存マンションの認定制度(地方公共団体)とは異なり、公益財団法人マンション管理センターが一元的に行います 23。
予備認定の基準は、既存マンション向けの管理計画認定基準に準じますが、管理組合が設立され実際に運営が開始された後でなければ満たせない項目(例:総会の開催実績など)は除かれます 14。申請にあたっては、既存マンションの認定制度と同様に、事前確認講習を修了したマンション管理士による事前確認が必要となります 30。
予備認定を受けた新築マンションは、マンション管理センターが運営する「予備認定マンション閲覧サイト」に名称等が掲載され、市場でのアピールに活用できます 30。また、予備認定を受けたマンションは、住宅金融支援機構の【フラット35】維持保全型における金利引き下げの対象となる場合があります 30。
ただし、予備認定はあくまで分譲・計画段階での評価であり、竣工・入居後に自動的に既存マンション向けの管理計画認定に移行するものではありません 60。管理組合が設立された後、改めて地方公共団体に対して管理計画認定の申請を行う必要があります。予備認定を取得したにもかかわらず、その後の管理組合運営において計画が適切に引き継がれず、管理計画認定の取得に至らないケースも懸念されており、分譲事業者から管理組合への円滑な移行と、管理水準維持への継続的な努力が課題となります 60。
なお、予備認定制度の利用には地理的な制約が生じる予定です。令和7年(2025年)4月1日以降は、マンションが所在する地方公共団体が「マンション管理適正化推進計画」を作成している区域内のマンションに限り、予備認定の申請が可能となります 30。これは、予備認定制度と、地方公共団体が主体となる既存マンション向けの認定制度との連携を強化する意図があると考えられます。
4. 制度の効果とメリット(利点)
マンション管理計画認定制度の導入は、管理組合、区分所有者、そしてマンション市場全体に対して、多岐にわたる効果とメリットをもたらすことが期待されています。
4.1 管理水準の向上と維持
認定を取得する最大のメリットの一つは、マンションの管理水準の維持・向上に直接的に寄与する点です 11。認定を受けるためには、国の定める基準(および地方公共団体の独自基準)を満たす必要があり、申請プロセス自体が、管理組合にとって自らの管理状況を客観的に見直し、改善点を発見する機会となります 18。
認定基準は、管理組合の運営体制、規約の整備、会計の透明性、そして特に長期修繕計画の策定・見直しといった、適切なマンション管理の根幹をなす要素を網羅しています 19。これらの基準を一つ一つクリアしていく過程で、管理上の課題が具体的に可視化され 2、管理組合内で問題意識を共有しやすくなります。これにより、改善に向けた具体的な行動計画を立て、実行に移しやすくなる効果が期待できます 18。
さらに、認定には5年間の有効期間があり、更新が必要となるため 14、認定取得が一過性の取り組みに終わることを防ぎ、継続的な管理水準の維持・向上へのインセンティブとなります。管理組合は、認定を維持するために、日常的に管理状況に関心を払い、定期的な見直しを行うことが求められます 36。
このように、認定制度は、管理組合の自主的な取り組みを促し、PDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を回していくための具体的な目標設定と評価軸を提供します。結果として、管理が行き届いた、安全で快適な居住環境が維持され、住民満足度の向上にも繋がることが期待されます 36。これは、制度の根幹である「マンション管理の適正化」を具体的に推進する効果と言えます 19。
4.2 長期修繕計画の実効性向上
特に重要な効果として、長期修繕計画(LTRP)の実効性向上が挙げられます。認定基準では、LTRPに関して詳細かつ具体的な要件が定められています。計画期間は30年以上、残存期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれ、計画の見直しは7年以内に行われ、一時金の徴収を予定せず、計画期間全体での平均積立額が著しく低額でなく、計画最終年度に借入金残高がないことなどが求められます 19。
これらの基準は、従来多くのマンションで見られた、計画期間が短すぎる、必要な修繕項目が漏れている、修繕積立金が将来の費用に対して明らかに不足している、といった問題を是正することを目的としています 3。特に、修繕積立金の水準に関する基準や、一時金徴収を認めない方針は、将来的な資金ショートのリスクを低減し、計画的かつ安定的な修繕積立金の確保を促します 39。国の関連ガイドライン(長期修繕計画作成ガイドライン、修繕積立金に関するガイドライン)が改訂され、計画期間の延長(25年→30年以上)や積立金水準の目安引き上げが行われたことも 2、この動きを後押ししています。
認定を目指す管理組合は、これらの基準を満たすために、既存のLTRPを精査し、必要であれば専門家の助言を得ながら、より現実的で持続可能な計画へと見直すことが求められます。これにより、場当たり的な修繕や資金不足による修繕の先送りを防ぎ、建物の長寿命化に不可欠な計画修繕を着実に実行していくための基盤が強化されます 8。
4.3 区分所有者の合意形成促進
マンション管理における最大の難関の一つが、区分所有者間の合意形成です。特に、修繕積立金の値上げや大規模修繕工事の実施など、費用負担を伴う意思決定は、意見の対立を招きやすく、計画が頓挫する原因ともなります 3。
マンション管理計画認定制度は、この合意形成を側面から支援する効果も期待されています。「認定を取得・維持する」という客観的で共通の目標を設定することで、管理組合内での議論を進めやすくなります 18。例えば、修繕積立金の値上げが必要な場合、「認定基準を満たすために必要である」という説明は、単に「将来のために値上げが必要」と説明するよりも、区分所有者の理解を得やすい可能性があります 36。
実際に、認定取得を目指す過程で、修繕積立金の大幅な値上げ(例:2倍近く)に成功した事例も報告されています。この事例では、管理組合が現状の課題(将来の資金不足)と認定取得のメリット(資産価値向上への期待など)を丁寧に説明することで、住民の合意を取り付け、結果的に管理への関心も高まったとされています 67。
また、後述する税制優遇措置(マンション長寿命化促進税制)は、認定取得と大規模修繕工事の実施を結びつけることで、工事実施への合意形成を後押しする狙いがあります 18。
ただし、認定制度が合意形成の万能薬となるわけではありません。依然として、費用負担に対する抵抗感や、制度への理解不足から、合意形成が難航するケースは想定されます(詳細は第5章参照)。しかし、客観的な基準と明確な目標を提供することで、合意形成に向けた議論の土台を整える効果は期待できるでしょう。
4.4 財政的インセンティブ(融資優遇、債券利率上乗せ、税制優遇)
認定を取得したマンションに対しては、国や関連機関から具体的な財政的インセンティブが提供されます。これらは、認定取得・維持への努力に対する直接的な報酬であり、管理組合や区分所有者の経済的負担を軽減し、さらなる管理改善への動機付けとなることが期待されます 2。
主なインセンティブは以下の通りです。
- 独立行政法人住宅金融支援機構(JHF)による金融支援: 14
- 【フラット35】維持保全型: 認定マンションの中古ユニットを購入する際に【フラット35】を利用する場合、当初5年間の金利が年0.25%引き下げられます 19。
- マンション共用部リフォーム融資: 管理組合が共用部分の修繕・改修工事のためにJHFから融資を受ける際、借入金利が年0.2%引き下げられます 2。この措置は2022年10月申込受付分から適用されています 2。
- マンションすまい・る債: 管理組合が修繕積立金を計画的に積立て・運用するために購入できるJHF発行の債券「マンションすまい・る債」について、認定マンション向けには利率が上乗せされます 2。この措置は令和5年度(2023年度)募集分から開始され 2、上乗せ幅は通常0.05%程度です 18。
- 国税庁による税制優遇:
- マンション長寿命化促進税制: 認定を受けたマンションが、一定の要件を満たす長寿命化に資する大規模修繕工事(外壁塗装等、床防水、屋根防水工事)を実施した場合、工事が完了した翌年度分の建物部分に係る固定資産税が、区分所有者ごとに減額される制度です 8。
- 主な要件: ①管理計画の認定を受けていること、②築20年以上経過、③総戸数10戸以上、④過去に1回以上、長寿命化工事を適切に実施していること、⑤今回(2回目以降)の長寿命化工事を令和5年4月1日から令和9年3月31日までの間に完了すること 8(一部資料では完了期限が令和7年3月31日 18 と記載されているため最新情報の確認が必要)、⑥長寿命化工事に必要な修繕積立金が確保されていること。
- 減額幅: 建物部分の固定資産税額の1/6から1/2の範囲内で、市町村が条例で定める割合が減額されます 18。
- 注意点: この税制優遇は、令和3年9月1日時点で既に十分な修繕積立金が確保されていた場合には対象外となる可能性があります 22。また、減税措置を受けるためには、工事完了後に区分所有者自身が市町村に申告する必要があります 40。
これらの金銭的メリットは、管理組合や区分所有者にとって非常に魅力的であり、認定取得に向けたインセンティブとして機能します。特に、共用部リフォーム融資の金利引き下げは管理組合の修繕コスト削減に、固定資産税の減税は区分所有者個人の負担軽減に直接繋がります。こうした具体的な利益を示すことで、認定取得やそれに伴う負担増(例:積立金値上げ)に対する合意形成を円滑に進める効果も期待できます 36。
表3:主な財政的インセンティブの概要
インセンティブ種類 | 提供機関 | 対象者 | 内容 | 主な条件・備考 |
【フラット35】維持保全型 | 住宅金融支援機構(JHF) | 中古購入者 | 当初5年間、年0.25%の金利引下げ 71 | 認定マンションのユニット購入時に利用 |
マンション共用部リフォーム融資 | 住宅金融支援機構(JHF) | 管理組合 | 借入金利を年0.2%引下げ 73 | 認定マンションが共用部の修繕・改修工事のために利用する場合 |
マンションすまい・る債 | 住宅金融支援機構(JHF) | 管理組合 | 債券利率を年0.05%程度上乗せ 72 | 認定マンションが修繕積立金の積立て・運用のために購入する場合 |
マンション長寿命化促進税制 | 国(税務署)・市町村 | 区分所有者(個人) | 工事完了翌年度の建物固定資産税を1/6~1/2減額 68 | 認定マンションであること、築20年以上・10戸以上、2回目以降の長寿命化工事を所定期間内(R5.4.1~R9.3.31)に完了、積立金確保等の要件あり 8。区分所有者による申告が必要 40。R3.9.1時点で積立金が十分だった場合は対象外の可能性あり 22。 |
(注) 金利引下げ幅、利率上乗せ幅、減税要件等の詳細は、必ず最新の公式情報をご確認ください。
4.5 市場評価の向上と「見える化」
認定制度は、マンションの管理状況という、これまで外部からは見えにくかった情報を「見える化」する効果を持ちます 2。
認定を受けたマンションは、管理組合の同意に基づき、マンション管理センターが運営する専用のウェブサイト「管理計画認定マンション閲覧サイト」に、マンション名、所在地、認定コード(認定日含む)などが公開されます 19。この公的なリストにより、購入希望者、不動産仲介業者、金融機関などは、どのマンションが一定の管理水準を満たしているかを容易に確認できます 11。一部の不動産情報サイトでも、この認定情報が表示される動きがあります 34。
この透明性の向上は、認定マンションの市場における評価を高めることに繋がると期待されています 2。適切な管理が行われていることは、建物の維持状態が良好である可能性が高いこと、将来的な大規模修繕等への備えがなされていること、そして住民の管理意識が高いことを示唆します。これらは、マンションの資産価値を判断する上で重要な要素であり、認定を受けていることが、価格査定や売却交渉において有利に働く可能性があります 36。
将来的には、マンション管理計画の認定の有無が、物件選びの際の重要な判断基準の一つとして定着する可能性も指摘されています 36。また、適正に管理されたマンションが増えることは、個々のマンションの価値向上だけでなく、立地する地域の良好な居住環境の維持・向上にも貢献すると考えられます 11。
5. 制度のデメリット(欠点)と課題
多くのメリットが期待される一方で、マンション管理計画認定制度には、管理組合にとっての負担や、制度運用上の課題も存在します。
5.1 管理組合の負担増(事務、費用)
認定を取得・維持するためには、管理組合、特にその運営を担う理事会や役員にとって、相当な事務的負担と費用負担が発生します 11。
- 事務負担: 申請書類(管理計画、規約、決算書、LTRP、議事録など多岐にわたる)の準備・作成、認定基準への適合状況の確認、総会での決議、地方公共団体や事前確認機関との連絡調整など、一連の手続きには多くの時間と労力が必要です 2。特に、書類の保管・整理が不十分なマンションでは、必要な資料を揃えるだけでも大変な作業となる可能性があります 75。さらに、認定は5年ごとの更新制であるため、これらの事務負担は定期的に発生します 11。認定後も、地方公共団体からの問い合わせ対応や、万が一、改善命令等が出された場合の対応なども管理組合の業務となります 40。
- 費用負担: 認定の申請・更新には直接的な費用がかかります。具体的には、地方公共団体への申請手数料、マンション管理センターのシステム利用料(オンライン申請の場合)、事前確認審査料(事前確認を利用する場合)などが挙げられます 2。これらの費用は、管理組合の財政状況によっては無視できない負担となり得ます。また、認定基準を満たすために、長期修繕計画の見直しや管理規約の改正などを専門家(マンション管理士、コンサルタント、弁護士、行政書士など)に依頼する場合、別途コンサルティング費用等が発生します 26。これらの費用を管理費から支出するのか、修繕積立金から支出するのか(本来、修繕積立金からの支出は限定されるべき)、あるいは別途徴収するのかといった、費用の捻出方法についても、管理組合内で意見が分かれる可能性があります 40。
これらの負担を軽減するため、マンション管理センターのオンライン申請支援サービスは、手続きの効率化に寄与することが期待されています 11。しかし、根本的な書類準備や基準適合のための作業、そして費用負担そのものがなくなるわけではありません。
5.2 合意形成の難しさ
認定申請を行うためには、事前に管理組合の総会で決議を得る必要があります 29。しかし、この合意形成が、認定取得における最大の障壁となることが少なくありません 33。
特に困難が伴うのが、認定基準を満たすために修繕積立金の値上げが必要となる場合です 2。認定基準では、長期修繕計画に基づき算定された修繕積立金の平均額が著しく低額でないことや、一時金の徴収を予定しないことなどが求められます 22。多くのマンション、特に築年数が経過したマンションでは、現状の積立額がこれらの基準を満たしておらず、認定取得のためには大幅な値上げが必要となるケースが少なくありません 33。
区分所有者は、年齢、収入、居住年数、将来計画(永住か売却か)などが様々であり、費用負担に対する考え方も異なります 3。将来の資産価値維持や長期的な安全性の確保という目的には賛同しても、目先の負担増には抵抗を感じる所有者は少なくありません 63。特に、高齢者や年金生活者にとっては、積立金の値上げは直接的な生活への影響が大きく、合意を得るのが難しい場合があります 3。
また、認定制度のメリット(特に資産価値向上効果)がまだ十分に市場で認識されていない段階では、「費用と手間をかけてまで認定を取得する必要があるのか」という疑問や反対意見も出やすくなります 40。財政的インセンティブの一つである固定資産税減税も、区分所有者個人の申請が必要となるため、その恩恵を実感しにくい所有者にとっては、認定の費用対効果が低いと判断される可能性もあります 40。
このように、認定制度が目指す「長期的な管理の適正化と財政健全化」と、区分所有者が直面する「短期的な費用負担増」との間には、構造的なジレンマが存在します。このギャップを埋め、合意形成を成功させるためには、理事会による粘り強い説明、メリット・デメリットの客観的な情報提供、そして区分所有者一人ひとりの当事者意識の醸成が不可欠となります 33。合意形成に失敗すれば、認定の取得・更新は困難となり、結果として管理改善の機会を逸してしまうことにもなりかねません 64。
5.3 手続きの複雑さ
認定基準(国の基準+地方公共団体の独自基準)の理解、申請方法の選択(直接申請かオンラインか、事前確認をどのパターンで利用するか)、多岐にわたる必要書類の準備、手数料の支払い、地方公共団体や関係機関とのやり取りなど、認定申請に関わる一連の手続きは、専門知識を持たない管理組合の役員にとっては複雑で分かりにくいものとなる可能性があります 2。
特に、長期修繕計画が標準様式に準拠しているか、修繕積立金の平均額が基準を満たしているか、滞納額の計算は正しいか、管理規約に必要な条項が盛り込まれているかといった、技術的・法的な判断が求められる項目も多く含まれています 24。これらの確認や対応には、専門家の支援が必要となる場合も少なくありません。
5.4 認定維持のための継続的努力
認定は一度取得すれば終わりではなく、5年ごとに更新が必要です 14。これは、認定された管理水準を継続的に維持していくための仕組みですが、管理組合にとっては、5年ごとに申請手続きの負担(事務・費用・合意形成)が繰り返されることを意味します 36。
また、認定基準を満たし続けるためには、日常的な管理運営においても、年1回の総会開催、名簿の更新、そして特に重要なのが、長期修繕計画の定期的な見直し(7年以内)などを着実に実施していく必要があります 14。これらの継続的な努力を怠れば、更新時に基準を満たせなくなるリスクがあります。
5.5 認定取得に向けた具体的な苦労事例
実際に認定を取得した、あるいは目指している管理組合からは、様々な苦労や課題が報告されています。
- 修繕積立金の値上げに関する合意形成: やはり最も多く聞かれるのが、積立金の値上げに対する区分所有者の理解を得ることの難しさです 33。将来の資金不足額を具体的に試算し、説明会を何度も開催する、あるいは駐輪場収入を有料化するなど、不足分を補う代替案を提示するといった工夫が必要となる場合があります 75。総会で役員が住民から「ちゃんとやっているのか」と厳しい意見を受け、悔しい思いをしたという声もあります 33。
- 管理規約の改正: 古い管理規約のままでは認定基準を満たせないため、改正が必要となるケースがあります。特に、緊急時の専有部立ち入りや情報提供に関する規定などが不足している場合、規約内容の検討と改正案作成、そして総会での承認というプロセスが必要となり、管理会社の専門家(マンション管理士)の支援を受けて対応した事例もあります 75。
- 長期修繕計画の見直し: 長期修繕計画を作成していても、認定基準で求められる「7年以内の見直し」が適切に行われていないケースが多いようです 63。単に工事の実施・未実施を反映させるだけでなく、将来の費用予測や計画期間全体での資金計画を再検討する必要があり、これには専門的な知識と時間、費用がかかります。健全な管理を行っていても、この見直し作業だけで1年近くかかる可能性も指摘されています 63。
- 書類の整備・保管: 築年数が古いマンションなどでは、過去の工事関係書類や図面などがきちんと整理・保管されておらず、申請に必要な書類を揃えるのに苦労する場合があります 75。
- 個人情報(名簿)の取り扱い: 組合員名簿・居住者名簿の整備は必須ですが、特に地方公共団体の独自基準で「要援護者名簿」の作成が求められる場合など、個人情報の取得に対してプライバシーへの懸念から住民の協力が得られにくいケースがあります 33。なぜ管理組合がそのような情報を必要とするのか、利用目的などを丁寧に説明し、理解を求める必要があります 33。
- 区分所有者の無関心: そもそも管理組合活動や認定制度に対する関心が低い区分所有者が多い場合、理事会が認定取得に向けて動こうとしても、協力が得られなかったり、総会での承認が得られなかったりする可能性があります 67。
これらの事例から浮かび上がるのは、認定取得は単なる書類申請作業ではなく、しばしば管理組合運営の根本的な見直しや、区分所有者間の意識改革を伴うプロセスであるということです。特に、資金計画や規約といった根幹部分に関わる課題を解決するには、十分な準備期間、専門家の活用、そして何よりも区分所有者間の丁寧なコミュニケーションと合意形成に向けた努力が不可欠となります 33。
6. 将来のマンション価値への影響
マンション管理計画認定制度の導入は、個々のマンションの将来的な資産価値や市場での評価、そして売却可能性にどのような影響を与えるのでしょうか。
6.1 認定の有無と資産価値・市場評価の関係
制度設計の段階から、認定を受けることによる資産価値の向上や市場評価の向上が、大きなメリットとして期待されています 2。
その根拠としては、以下の点が挙げられます。
- 管理品質の「見える化」: 認定は、そのマンションが一定の管理水準を満たしていることを、地方公共団体という公的な主体が証明するものです。これにより、これまで外部からは評価しにくかった「管理の質」が客観的に示され、購入希望者や不動産仲介業者、金融機関などが安心して取引できる材料となります 2。
- 将来リスクの低減: 認定基準、特に長期修繕計画や修繕積立金に関する要件は、将来的な大規模修繕費用の不足や、それに伴う一時金の徴収といったリスクが低いことを示唆します。購入希望者にとって、入居後の予期せぬ費用負担のリスクが少ないことは、大きな安心材料となります 36。
- 公的リストによる認知度向上: 認定マンションは、マンション管理センターのウェブサイトで公開されるため(希望制)19、管理に意識の高い購入希望者等に対して、その存在をアピールすることができます。
- 金融インセンティブによる魅力向上: 【フラット35】の金利優遇は、認定マンションの購入希望者にとって直接的な経済的メリットとなり、物件の魅力を高めます 19。
実際に、認定制度と類似の評価軸を持つ(一社)マンション管理業協会の「マンション管理適正評価制度」においては、評価結果とマンション価格の間に相関関係が見られるという調査結果も出ています。横浜市立大学の鈴木雅智准教授の研究によると、同制度で最高評価(★5)を得たマンションは、評価を受けていないマンションと比較して約11%の価格プレミアム(上乗せ価格)が確認されたと報告されています 79。また、NHKの報道番組では、管理計画認定を取得したマンションが、地域の相場と比較して高い価格上昇率を示している事例が紹介されました 67。
ただし、認定制度は比較的新しい制度(2022年開始)であり、その市場への影響が完全に定着するにはまだ時間が必要です。一部には、認定基準はあくまで「最低限の基準」であり、認定取得が必ずしも価値向上に直結するとは限らないという慎重な見方もあります 11。認定の価値が市場でどの程度評価されるかは、今後の制度の普及度合い、不動産市場全体の動向、そして購入者の間で「管理の質」を重視する意識がどの程度高まるかに左右されると考えられます 80。
6.2 専門家の見解と市場データ
不動産鑑定士やマンション管理士といった専門家の間では、概ね、認定制度はマンションの価値評価においてポジティブな要因になると捉えられています 36。管理状況の透明性が高まること、将来的なリスクが低減されることなどが評価のポイントです。
市場データについては、前述の通り、関連制度における価格プレミアムの存在を示唆する研究 79 や、個別の事例報告 67 はありますが、認定制度自体の効果を統計的に裏付ける大規模なデータは、まだ蓄積の途上にあると言えます。認定件数が着実に増加していること 37 は、管理組合や市場関係者の関心が高まっていることを示しており、今後、より明確な市場データが現れてくることが期待されます。
6.3 売却可能性への影響
資産価値の向上と並んで、認定はマンションの**売却可能性(売りやすさ)**にも好影響を与えると予想されます 2。
中古マンション市場において、購入希望者が最も懸念する点の一つが、購入後の管理状況や将来的な費用負担です。特に築年数が経過したマンションの場合、大規模修繕の時期や費用、修繕積立金の状況などが不明確だと、購入をためらう要因となります 36。
管理計画認定を受けているマンションは、これらの点について一定の基準をクリアしていることが公的に証明されているため、購入希望者は安心して検討を進めることができます 11。不動産仲介業者にとっても、認定を受けていることは販売時のアピールポイントとなり、他の類似物件との差別化を図る上で有利に働きます 36。
結果として、認定マンションは、非認定のマンションと比較して、よりスムーズに、そして場合によってはより有利な条件で売却できる可能性が高まると考えられます。
総じて、マンション管理計画認定制度や関連する評価制度の普及は、中古マンション市場の評価軸に変化をもたらす可能性があります。従来重視されてきた立地、築年数、広さ、設備といった要素に加え、「管理の質」が、資産価値や取引の成否を左右する重要な要素として、その重みを増していくと考えられます 79。これは、適切な管理への努力が市場で報われる仕組みが構築されつつあることを意味し、管理組合にとっては、認定取得を目指す大きな動機付けとなり得るでしょう。
7. 専門家の役割:マンション管理士と行政書士
マンション管理計画認定制度の円滑な活用においては、専門家による支援が重要な役割を果たします。特に、マンション管理士と行政書士は、それぞれ異なる専門性を活かして管理組合をサポートすることが期待されています。
7.1 マンション管理士の役割
マンション管理士は、マンション管理適正化法に基づき創設された国家資格者であり、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、管理組合の管理者等または区分所有者等の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うことを業務としています 5。区分所有者の知識不足を補い、管理組合の立場に立って専門的なサポートを提供することが、その主な役割です 5。
マンション管理計画認定制度においては、マンション管理士は以下のような具体的な役割を担います。
- 相談・助言: 認定制度の概要、メリット・デメリット、申請手続き、認定基準の内容などについて、管理組合からの相談に応じ、専門的な見地からアドバイスを提供します 14。一般社団法人日本マンション管理士会連合会(日管連)は、専用の相談ダイヤル(マンション管理計画認定制度 相談ダイヤル TEL:03-5801-0858)を設置し、相談に対応しています 19。
- 管理計画作成・見直し支援: 認定基準を満たすための管理計画(特に、複雑な計算や将来予測を伴う長期修繕計画)の作成や見直しを支援します 18。基準に適合する計画内容の検討、修繕積立金の適切な設定、必要な規約改正案の作成などをサポートします 75。
- 事前確認の実施: マンション管理センターが実施する「事前確認講習」を修了したマンション管理士は、オンライン申請における「事前確認」業務を行うことができます 14。これは、申請された管理計画が国の定める認定基準に適合しているかを技術的・専門的な観点から確認する重要な役割であり、マンション管理士の専門性が活かされる場面です。ただし、利益相反規定により、自身が管理するマンション等の事前確認は行えません 28。
- 課題解決支援: 認定取得に向けて、管理組合が抱える課題(例:管理規約の不備、資金不足、運営上の問題点など)を特定し、その解決策の検討・実行を支援します 84。例えば、古い管理規約を認定基準に合わせて改正する作業をサポートした事例があります 75。
マンション管理士は、管理組合運営や建物維持管理に関する専門知識を活かし、管理計画の「内容」そのものを認定基準に適合させ、管理の質を向上させるための実質的なサポートを提供する役割を担います。
7.2 行政書士の役割
行政書士は、行政書士法に基づく国家資格者であり、官公署に提出する書類その他権利義務または事実証明に関する書類を作成すること、およびその代理申請を行うことを主な業務としています 76。報酬を得てこれらの業務を行うことは、原則として行政書士の独占業務とされています 76。
マンション管理計画認定制度においては、行政書士は以下のような役割を担うことが想定されます。
- 認定申請の代理: 管理組合からの委任を受け、地方公共団体に対して管理計画認定の申請手続きを代理して行うことができます 26。報酬を得て申請代理を行うことは、行政書士の独占業務に該当すると解されています 76。マンション管理センターのオンライン支援システムにおいても、行政書士による代理入力が可能となっています 38。
- 申請書類の作成: 地方公共団体に提出する認定申請書や、その他必要な添付書類の作成を代行または支援します 46。官公署提出書類の作成を報酬を得て行うことも、行政書士の独占業務とされています 76。
- 手続きに関する助言: 認定申請に必要な行政手続きの流れ、提出書類の要件、手数料の支払い方法など、手続き全般に関するアドバイスを提供します 76。
行政書士は、法律に基づいた書類作成や行政手続きの専門家として、認定申請という行政プロセスを円滑かつ正確に進めるためのサポートを提供する役割を担います。
7.3 両者の役割分担と連携
マンション管理士と行政書士は、認定制度においてそれぞれ異なる、しかし相互補完的な役割を担います。
- マンション管理士: 主に、管理計画の内容の適正化、認定基準(特に管理運営や長期修繕計画に関する技術的・専門的要件)への適合性確保、事前確認の実施といった、マネジメント・技術面のサポートを担当します 28。
- 行政書士: 主に、認定申請という行政手続きの代行、申請書類の作成・提出といった、法務・事務手続面のサポートを担当します 26。
効果的に認定を取得・維持するためには、多くの場合、両者の専門性を活用することが有効です 46。例えば、マンション管理士が管理計画の内容を精査・改善し、事前確認を行って基準適合性を担保し、その上で行政書士が正式な申請書類を作成し、地方公共団体への提出を代行するという連携が考えられます 46。
両者の業務範囲には一部重複する部分(例:制度に関する一般的なアドバイス)もありますが、核となる専門領域は異なります。特に、報酬を得て行う申請代理や官公署提出書類の作成は行政書士の独占業務であり 76、一方で、マンション管理センターの事前確認講習を修了したマンション管理士でなければ行えない事前確認業務もあります 28。管理組合は、依頼したい業務の内容に応じて、適切な専門家を選択・活用することが重要です。
近年、一般社団法人日本マンション管理士会連合会と日本行政書士会連合会の間で連携協定が締結されるなど 85、両専門家団体の間での協力体制構築に向けた動きも見られます。これは、マンション管理計画認定制度をはじめとするマンション管理の高度化・複雑化に対応するため、両者の連携が不可欠であるとの認識が広がっていることを示唆しています。
この制度の普及に伴い、管理組合からの専門家へのニーズは高まることが予想されます。マンション管理士によるコンサルティングや事前確認、行政書士による申請代行といったサービスは、管理組合にとって追加の費用負担となる可能性がありますが、専門家の知見を活用することで、認定取得の確実性を高め、手続きに伴う負担を軽減できるというメリットがあります 26。
表4:マンション管理士と行政書士の役割比較(管理計画認定制度関連)
項目 | マンション管理士 | 行政書士 |
主な焦点 | 管理計画の内容の適正化、管理運営・技術面のサポート | 認定申請の行政手続きの適正化、法務・事務手続面のサポート |
主な関連業務 | ・認定基準に関する相談・助言<br>・管理計画(特にLTRP)作成・見直し支援<br>・事前確認の実施(要講習修了、利益相反なし)<br>・管理改善・課題解決支援 | ・認定申請の代理(報酬を得て行う場合は独占業務)<br>・申請書類作成(報酬を得て行う場合は独占業務)<br>・行政手続きに関する相談・助言 |
資格根拠法 | マンション管理適正化法 | 行政書士法 |
専門分野 | マンション管理運営、建物維持管理、長期修繕計画、コミュニティ形成 等 | 行政法規、許認可申請、権利義務・事実証明に関する書類作成 等 |
連携の可能性 | 管理計画の内容が基準に適合するよう支援し、事前確認を行う。 | マンション管理士等が適合性を確認した計画に基づき、申請書類を作成し、地方公共団体への提出を代行する。 |
(注) 上記は一般的な役割分担であり、個々の専門家が持つ資格や経験によって対応可能な範囲は異なります。
8. 制度の普及状況と将来展望
2022年4月に施行されたマンション管理計画認定制度は、まだ比較的新しい制度ですが、その普及状況と将来性について、現時点でのデータと今後の見通しを考察します。
8.1 全国における導入・普及状況(統計、認定件数推移)
制度開始当初、認定件数の伸びは緩やかでしたが、徐々に増加傾向を見せています 37。国土交通省の発表によると、2024年4月19日時点で、全国の認定マンション数は677件に達しました 37。特に2023年後半から認定件数が増加し、2024年3月には月間の認定件数が初めて100件を超え、115件を記録しています 37。これは、制度の認知度向上や、地方公共団体における認定体制の整備が進んだこと、そして管理組合側の準備が整ってきたことを示唆しています。マンション管理センターが提供する支援サービスへの相談件数も、令和5年度には前年度比で大幅に増加しており、関心の高まりがうかがえます 81。
地理的な分布を見ると、認定を受けるためには、そのマンションが所在する地方公共団体が「マンション管理適正化推進計画」を作成している必要があります 11。この推進計画の作成は、特に大都市圏を中心に急速に進んでおり、令和5年度末(2024年3月末)には全国のマンションストックの8割以上が制度の対象となる見込みでした 32。認定件数が多い都道府県(2024年4月時点)は、東京都(169件)、神奈川県(144件)、大阪府(60件)、兵庫県(53件)、埼玉県(50件)となっており、都市部での活用が進んでいることがわかります 37。個別の市町村レベルでも、世田谷区 70 や国立市 56 などが認定実績を公表しています。
新築マンションを対象とする予備認定制度についても、令和6年度(2024年度)には開始から2ヶ月半で200件を超える申請があるなど、分譲事業者側の関心も高いことが示されています 57。
8.2 認定マンション一覧の公開
認定制度の重要な特徴の一つが、認定を受けたマンションの情報公開です。管理組合が公開に同意した場合、マンション管理センターが運営する専用ウェブサイト「管理計画認定マンション閲覧サイト」(https://publicview.mankannet.or.jp/)に、マンション名、所在地、認定コード、認定日などが掲載されます 19。
この情報公開は、第6章で述べたように、市場における「見える化」を促進し、適正に管理されたマンションが評価される環境を醸成することを目的としています 19。購入希望者や不動産業者などが、客観的な情報に基づいて物件を比較検討する上で、重要な情報源となります。
8.3 地方公共団体の推進計画作成状況
前述の通り、認定制度の利用は、地方公共団体による「マンション管理適正化推進計画」の作成が前提となります 11。国土交通省は、各地方公共団体の計画作成状況(作成済みか、作成予定時期など)に関する最新情報をリスト形式で公表しています 19。
このリストによれば、令和4年度(2022年度)から計画作成・制度運用を開始した地方公共団体が多く、特に政令指定都市や東京都特別区では早期に導入が進みました 32。その後も、県庁所在地や中核市、その他の市町村へと計画作成の動きが広がっており、全国的なカバー率は着実に向上しています 33。新築マンションの予備認定についても、令和7年4月以降は推進計画を作成した地方公共団体の区域内に限定されることから 30、推進計画の作成は、その地域のマンション管理政策全体の基盤として、ますます重要性を増しています。
ただし、一部の地方公共団体からは、計画策定が実質的な義務付けとなっており、限られた人員の中で策定・改定作業を行うことが大きな負担であるとの意見も出されています 21。制度の目的達成と地方公共団体の負担軽減を両立させるための工夫が、今後の課題となる可能性があります。
8.4 制度の将来的な展望と課題
今後、マンション管理計画認定制度は、さらに普及が進むことが予想されます。認定件数の増加に伴い、市場における認知度・評価も高まり、将来的には、認定を受けていることが「管理の行き届いたマンション」のスタンダードな指標となる可能性も考えられます 36。これにより、管理組合の自主的な管理改善努力が一層促進され、全国的なマンション管理水準の底上げに貢献することが期待されます 11。また、制度の活用が進むにつれて、マンション管理士や行政書士といった専門家の役割もますます重要になるでしょう 86。
しかし、制度が広く浸透し、その効果を最大限に発揮するためには、いくつかの課題を克服する必要があります。
- 認知度向上と理解促進: 区分所有者や管理組合役員に対して、制度の目的、メリット、手続き、そして認定基準を満たすことの重要性などを、より分かりやすく周知し、理解を深めてもらう必要があります。特に、費用負担や手間に対する漠然とした不安や抵抗感を払拭するための丁寧な情報提供が求められます 33。
- 負担軽減策: 申請・更新に伴う事務的・経済的負担は、依然として大きな課題です。特に、小規模なマンションや、財政的に余裕のない管理組合にとっては、認定取得のハードルとなり得ます。オンライン申請のさらなる利便性向上や、申請手続きの簡素化、あるいは費用負担を軽減するための支援策などが検討される必要があるかもしれません 11。
- 合意形成支援: 最も困難な課題である合意形成、特に修繕積立金の値上げ等に関する合意形成を、どのように支援していくかが重要です。情報提供の強化、成功事例の共有、専門家による合意形成プロセスのサポートなどが考えられます 63。
- 実効性の確保: 認定制度が、単なる「お墨付き」の取得に留まらず、実際の管理の質の向上に繋がっているか、継続的に検証していく必要があります。また、認定を受けられない、あるいは申請に至らない管理が不十分なマンションに対して、地方公共団体による助言・指導・勧告がどの程度有効に機能するのかも、今後の重要な論点です。
- 新築と既存の連携: 新築時の予備認定制度と、管理組合設立後の管理計画認定制度との連携を強化し、分譲段階での適切な計画が、その後の管理運営に確実に引き継がれるような仕組みづくりが求められます 60。
8.5 改正の可能性と長期的な影響
認定制度は、社会状況の変化や制度運用から得られる知見に基づき、将来的に改正される可能性があります。
- 認定基準の見直し: マンション管理を取り巻く新たな課題(例:防災対策の強化、脱炭素化に向けた省エネ改修の促進、高齢化対応のバリアフリー化など)に対応するため、認定基準が追加・変更される可能性があります 39。国土交通省も、将来的な基準の見直し(より高い水準を目指す可能性も含む)を検討しています 37。既に、長期修繕計画や修繕積立金に関する国のガイドライン改訂が、認定基準の実質的な変更に繋がっています 2。
- 手続きの改善: 申請者からのフィードバックに基づき、申請手続きのさらなる簡素化やオンラインシステムの機能改善などが行われる可能性があります。
- 関連制度との連携強化: 予備認定制度や、民間の評価制度(マンション管理適正評価制度など)との連携が、よりシームレスになるような見直しも考えられます。
長期的に見れば、マンション管理計画認定制度は、日本の膨大なマンションストックの老朽化進行を抑制し、良好な居住環境を維持・向上させ、不動産としての資産価値を保全していく上で、重要な役割を果たすことが期待されます 11。管理不全に陥るマンションを減らし、将来的な廃墟化リスクや社会的コストを低減することにも繋がるでしょう。また、制度を通じて、マンション管理に対する区分所有者の意識向上や、より専門的で計画的な管理運営体制の普及が促進されると考えられます。
8.6 関連制度との連携
マンション管理計画認定制度は、単独で存在するのではなく、他の類似した評価・支援制度と連携・補完しあう関係にあります。
- マンション管理適正評価制度: 一般社団法人マンション管理業協会が運営する民間の評価制度です。認定制度(国基準約16項目+α)よりも多くの評価項目(約30項目)を持ち、管理組合運営だけでなく、建物・設備の法定点検実施状況などハード面も評価対象としています 2。有効期間は1年間で、毎年更新が必要です 42。認定制度との大きな違いは、全国どのマンションでも申請可能である点(認定制度は推進計画作成自治体のみ)と、評価頻度です 42。両制度の申請を同時に行える「ワンストップサービス」が提供されており(パターン②)、認定制度を補完する役割を担っています 28。
- マンション管理適正化診断サービス: 一般社団法人日本マンション管理士会連合会が提供するサービスです。こちらも、認定制度とのワンストップ申請が可能な連携(パターン③)を提供しています 27。
これらの関連制度の存在は、管理組合にとって、自らのニーズや目的に合わせて評価・認定の仕組みを選択できるというメリットがある一方で、制度間の違い(評価項目、有効期間、費用、申請方法など)を理解し、最適なアプローチを選択する必要があるという複雑さも生んでいます 2。政府、業界団体、専門家団体がそれぞれに関与する、マンション管理の質を評価・向上させるための「エコシステム」が形成されつつあると言えるでしょう。
9. 結論
9.1 制度の意義と管理組合への推奨事項
マンション管理計画認定制度は、日本のマンションが直面する高経年化と管理の担い手不足という深刻な課題に対応するために導入された、画期的な政策ツールです。この制度は、単に優良なマンションを表彰するだけでなく、管理組合の自主的な管理改善努力を促し、適切な管理が行われているマンションが市場で正当に評価される仕組みを提供します。さらに、金融支援や税制優遇といった具体的なインセンティブを通じて、管理改善への動機付けを与え、建物の長寿命化と資産価値の維持に貢献することが期待されます。
管理組合においては、この制度を単なる「新たな規制」や「負担」として捉えるのではなく、自らのマンションの管理状況を見直し、将来にわたってその価値を維持・向上させていくための有効なツールとして積極的に活用することが推奨されます。
- 積極的な情報収集と検討: まずは、自らのマンションが所在する地方公共団体が制度を導入しているか、独自基準はあるかなどを確認し、認定取得のメリット・デメリットを具体的に検討することから始めましょう。
- 自己診断ツールとしての活用: 認定基準(国の基準および地方公共団体の独自基準)を、自らの管理組合の運営、規約、会計、長期修繕計画などをチェックするための客観的なリストとして活用し、課題や改善点を洗い出しましょう。
- 区分所有者への丁寧な説明と合意形成: 認定取得を目指す場合、その目的、メリット(特に資産価値への影響や金融・税制優遇)、そして必要となる負担(費用、積立金値上げの可能性など)について、総会等で区分所有者に丁寧に説明し、理解と協力を得ることが不可欠です。合意形成こそが最大の鍵となります。
- 専門家の活用: 認定基準の解釈、管理計画(特にLTRP)の作成・見直し、申請手続きなど、専門的な知識やノウハウが必要となる場面では、躊躇なくマンション管理士や行政書士といった専門家の支援を求めましょう。適切な専門家を活用することが、円滑な認定取得への近道です。
- 長期的な視点: マンション管理は、一朝一夕に成果が出るものではありません。認定制度への取り組みを、短期的な目標達成だけでなく、長期的な視点に立ってマンションの価値を守り、育てていくための継続的なプロセスの一部と捉えることが重要です。
9.2 今後のマンション管理における重要性
少子高齢化、建物の高経年化、そしてライフスタイルの多様化が進む中で、日本のマンション管理は、ますますその重要性を増しています。マンション管理計画認定制度は、こうした時代の要請に応え、マンション管理の質を客観的に評価し、向上させていくための社会的な仕組みとして、今後、その存在感を高めていくと考えられます。
将来的には、認定の有無が、マンションの資産価値や市場流動性を左右する重要な要素として、より広く認識されるようになるでしょう。適切な管理計画を持ち、それを着実に実行している管理組合は、市場からの評価や金融支援を通じて、その努力が報われる一方、管理を怠り、将来への備えを欠くマンションは、資産価値の低下や管理不全リスクの増大といった厳しい現実に直面する可能性があります。
したがって、マンション管理計画認定制度への対応は、単なる選択肢の一つではなく、将来にわたって良好な居住環境と資産価値を維持していくために、全てのマンション管理組合が真剣に検討すべき重要な課題であると言えます。この制度を契機として、区分所有者一人ひとりが当事者意識を持ち、専門家や行政とも連携しながら、計画的かつ持続可能なマンション管理を実現していくことが、これからの時代に求められています。
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- 【2024年】行政書士に申請代行を依頼するメリットは?|コラム – 株式会社プランベース, 4月 23, 2025にアクセス、 https://planbase.co.jp/column/235/
- マンション管理計画認定制度と自治体への申請代行について – 行政書士萩本昌史事務所ブログ, 4月 23, 2025にアクセス、 https://hagimotomasashi.net/archives/929
- www.izumikuren.net, 4月 23, 2025にアクセス、 http://www.izumikuren.net/hpimages/72/623maqnkan.pdf
- 制度開始から2年 2つの「マンション管理の評価制度」とその影響 – 月刊不動産, 4月 23, 2025にアクセス、 https://magazine.zennichi.or.jp/commentary/15898
- 2022年4月管理計画認定制度が改正。管理と中古マンション市場に与える影響は? – さくら事務所, 4月 23, 2025にアクセス、 https://www.sakurajimusyo.com/guide/30549/
- 令和5年度事業報告書 マンションストック戸数は令和4年末で約694 万戸にのぼり, 4月 23, 2025にアクセス、 https://www.mankan.or.jp/cms-sys/wp-content/uploads/2024/06/003.pdf
- 申請手続きのQ&A一覧 – マンション管理・再生ポータルサイト, 4月 23, 2025にアクセス、 https://2021mansionkan-web.com/classifying/mng_application_procedure/
- 日行連と連携協定締結へ 8/28第16回定時総会 意見交換会実施も 日管連, 4月 23, 2025にアクセス、 https://www.h-fukui.com/news/4289.html
- 栗原 典子 代表 マンション管理士, 4月 23, 2025にアクセス、 https://www.mankan-office.com/intro.html
- お知らせ (一社)日本マンション管理士会連合会と連携協定を締結しました, 4月 23, 2025にアクセス、 https://www.gyosei.or.jp/news/20250228
- マンション管理士の将来性が上がる?独占業務誕生の可能性から将来の需要を完全予測, 4月 23, 2025にアクセス、 https://mansionkanri-kyuujin.com/media/17/
- 管理計画認定制度って何?マンション管理適正評価制度とは違うの??, 4月 23, 2025にアクセス、 https://www.kanrikyo.or.jp/4season/articles/manner/45/page_2.php