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【保存版】遺言書が絶対に必要な6つのケース|相続トラブルを防ぐために

遺言書の必要性

「まだ遺言書は必要ない」そう考えていませんか?実は、遺言書の作成は財産の多寡や年齢に関係なく、多くの方に必要とされています。相続トラブルの約7割は、遺言書がないことが原因で発生しています。特に、家族構成が複雑な場合や事業を営んでいる場合は、遺言書の作成が不可欠です。

本記事では、遺言書が絶対に必要となる6つのケースを詳しく解説します。これらのケースに該当する方は、早めの対策をお勧めします。遺言書の作成は、残された家族の未来を守る重要な準備なのです。遺言書の必要性を具体的に理解し、相続トラブルを未然に防ぐための対策について、実例を交えながら分かりやすく説明していきます。この記事を読み終えた後には、あなたやご家族にとって遺言書がなぜ必要なのか、その理由が明確になるはずです。

遺言書が必要な6つのケース

目次

第1章:遺言書の基礎知識

1-1. 遺言書とは

遺言書は、人生の最期に残す大切なメッセージであり、法的な効力を持つ文書です。

民法第960条では、遺言書を通じて自身の死後の財産処分や後継ぎに関する意思を示すことができると定めています。単なる希望や想いを書き記したものではなく、相続における「遺言者の意思の尊重」という大原則を実現するための重要な法的文書なのです。

遺言書には財産の承継に関する事項を記すことができるのはもちろんですが、それだけではありません。例えば、未成年の子がいる場合には親権者を指定したり(民法第839条)、遺言の内容を実現するための遺言執行者を指定したり(民法第1006条)することもできます。

このように、遺言書は相続に関する幅広い事項について、法的な効力のある指示を残すことができる文書なのです。

1-2. 遺言書の種類と特徴

遺言書を作成する際には、民法で定められた方式に従う必要があります。最も一般的な遺言書の形式は、公正証書遺言、自筆証書遺言、秘密証書遺言の3種類です。

公正証書遺言は、公証人の面前で作成する最も確実な遺言方式です。民法第969条に基づき、証人2名以上の立会いのもと作成されます。作成費用は必要になりますが、公証役場で確実に保管されるため、紛失や偽造のリスクはほとんどありません。また、公証人が関与することで遺言能力の証明も容易になるため、将来的な遺言の有効性を確保する意味でも最も安全な方式といえます。

自筆証書遺言は、遺言者が全文を自筆で作成する方式です。民法第968条では、日付、氏名の記載と押印が必要と定めています。費用をかけずに作成できる反面、法律で定められた方式に従わないと無効になるリスクがあります。近年では、法務局における遺言書保管制度が創設され、自筆証書遺言の紛失や偽造のリスクを軽減することが可能になりました。

1-3. 遺言書がない場合のリスク

遺言書を作成せずに亡くなった場合、残された家族は予期せぬ困難に直面することがあります。最も深刻な問題は、遺産分割協議の長期化です。遺言書がない場合、相続人全員の合意がなければ遺産分割を確定することができません。

相続人の意見が対立した場合、預貯金の払戻しや不動産の処分もままならない状況に陥ることがあります。また、相続人間の争いに発展するケースも少なくありません。相続分を巡る意見の相違は、しばしば感情的な対立を引き起こします。その結果、調停や裁判による解決を余儀なくされ、多大な時間と費用、そして家族関係の悪化という代償を払うことになりかねません。

1-4. 法定相続と遺言相続の違い

遺言書がない場合の相続(法定相続)では、民法第900条に定められた法定相続分に従って遺産が分配されます。配偶者は遺産の2分の1を相続し、残りの2分の1を子が相続します。子が複数いる場合は均等に分割されます。

この画一的な分配方法は、必ずしも遺産の性質や各相続人の事情に適していない場合があります。一方、遺言相続では遺言者の意思が最大限尊重されます。法定相続分にとらわれることなく、柔軟な財産分配が可能です。

例えば、事業を継承する子には事業用資産を、親の介護をした子には自宅を、というように、各相続人の状況に応じた適切な分配を実現できます。

また、特定遺贈という方法を用いれば、相続人以外の人に財産を残すことも可能です。

このように、遺言書の作成は、相続に関する明確な意思表示を残すことで、相続人間の紛争を防ぎ、円滑な財産承継を実現する重要な手段となります。特に事業承継が必要な場合や、複雑な家族関係がある場合には、遺言書の作成が強く推奨されるのです。

第2章:遺言書が絶対に必要な6つのケース

2-1. 家族関係が複雑なケース

現代社会では、家族の形が多様化しています。特に再婚による家族関係の複雑化は、相続問題を一層難しくする要因となっています。再婚によって前婚の子供と後婚の子供が存在する場合、法定相続だけでは適切な財産分配が困難になることがあります。

例えば、長年連れ子の養育に関わってきた継親が、法定相続では相続権を持たないケースや、異なる家庭環境で育った兄弟姉妹の間で価値観の相違が生じるケースなどが考えられます。

また、婚外子がいる場合も要注意です。1973年の最高裁判決以降、婚外子の相続分は嫡出子と同等となりましたが、その存在を他の相続人が知らないケースも少なくありません。このような場合、遺言書がないと相続開始後に予期せぬ相続人が現れ、既に進めていた相続手続きをやり直さなければならない事態に発展することもあります。

2-2. 財産構成が不動産中心のケース

不動産は、その性質上、現物分割が困難な財産です。特に一つの不動産を複数の相続人で共有することになった場合、将来的な管理や処分を巡って深刻な問題が発生することがあります。

例えば、賃貸マンションを相続した場合を考えてみましょう。相続人の一人が建物の大規模修繕を提案しても、他の相続人が反対すれば実施できません。

また、売却を希望する相続人と賃貸経営の継続を望む相続人が対立した場合、不動産の有効活用が妨げられることになります。

事業用不動産の場合は更に慎重な対応が必要です。事業の継続性を確保するためには、事業承継者に事業用不動産を集中的に相続させることが望ましいケースが多くあります。しかし、遺言書がない場合、他の相続人との調整が難航し、事業の継続に支障をきたす可能性があります。

2-3. 相続人に特別な事情があるケース

相続人の中に認知症の方や障害をお持ちの方がいる場合、その方の将来的な生活保障を考慮した相続が必要になります。

例えば、障害のある子供の生活を支えるために、収益不動産からの家賃収入を継続的に確保したいと考えるケース。または、認知症の配偶者の将来的な介護費用に備えて、一定額の金融資産を確保しておきたいケース。このような場合、遺言書による計画的な財産承継が欠かせません。

また、相続人が海外在住の場合も要注意です。国際相続では、相続準拠法の問題や、海外在住者との遺産分割協議の困難さなど、様々な課題が生じます。遺言書があれば、このような複雑な調整を回避し、スムーズな相続を実現することができます。

相続人の所在が不明な場合も同様です。遺言書がないと、不在者財産管理人の選任など、煩雑な手続きが必要になり、相続手続きの長期化は避けられません。このように、相続人に特別な事情がある場合、遺言書の存在が相続手続きの円滑化に大きく貢献します。次の節では、法定相続人以外への財産承継を希望するケースについて詳しく見ていきましょう。

第3章:遺言書作成のメリットと効果

3-1. 法的効果

遺言書の最も重要な特徴は、その確実な法的効力にあります。民法第985条により、遺言は遺言者の死亡の時からその効力を生じます。

遺言書で明確に定められた相続財産については、原則として遺産分割協議を経ることなく、遺言の内容に従って相続が進められます。これにより、相続手続きが簡略化され、円滑な財産承継が可能となります。

また、遺言書には、相続分の指定や特定財産の承継など、法定相続では実現できない法的効果を持たせることができます。相続人の廃除については、遺言者が遺言で廃除の意思表示をした上で、家庭裁判所の審判により認められる必要があります。

3-2. 経済的効果

遺言書の作成は、相続に伴う経済的負担を軽減します。遺産分割協議が長期化すると、弁護士費用や調停費用などの法的費用が発生するだけでなく、相続財産の管理コストも増大します。

特に事業承継における経済的効果は顕著です。遺言書により、事業用資産を一括して後継者に承継させることで、事業の継続性を確保できます。これは、取引先との関係維持や従業員の雇用確保にもつながり、事業価値の維持・向上に貢献します。

不動産の相続においても、遺言書は重要な役割を果たします。複数の不動産を相続人の居住地や職業に応じて適切に分配することで、将来的な管理コストの削減や収益性の向上が期待できます。

3-3. 精神的効果

遺言書の存在は、相続人の精神的負担を軽減します。相続開始後の遺産分割協議では、相続人同士が感情的な対立に陥りやすく、家族関係が永続的に損なわれることも少なくありません。

遺言書には、財産分配の理由や遺族への想いを記すことができます。ただし、遺言の本文に記載する場合は、法的な有効性に影響を与えない形で付言事項として記載することが望ましいでしょう。「自宅を長男に相続させるのは、長年の介護への感謝の気持ちを込めて」といった説明があれば、他の相続人の理解も得やすくなります。

また、遺言者自身にとっても、遺言書の作成は人生の整理整頓という意味を持ちます。自身の想いを形にし、家族の将来に向けた準備を整えることで、精神的な安心感が得られます。

3-4. 相続税対策への活用

遺言書は、効果的な相続税対策のツールとしても機能します。配偶者居住権の活用は、2020年4月の民法改正で導入された制度で、配偶者の居住権を保護しながら、相続税評価額を低減できる可能性があります。

また、相続財産を適切に分割することで、各相続人の基礎控除や税額控除を最大限に活用できます。小規模宅地等の特例(最大80%評価減)の適用を見据えた遺産分割や、生前贈与と組み合わせた相続時精算課税制度の活用など、計画的な相続税対策には遺言書が重要な役割を果たします。

事業承継税制の適用においても、遺言書は不可欠です。後継者に自社株式等を集中的に承継させることで、納税猶予制度等の要件を満たし、大幅な税負担の軽減を図ることができます。

このように、遺言書は単なる財産分配の指示書ではありません。法的効力による確実な財産承継、経済的負担の軽減、家族の精神的な安心、そして相続税対策まで、様々な効果をもたらす重要なツールです。次章では、このような効果を最大限に引き出すための、具体的な遺言書作成の実務について解説していきます。

第4章:遺言書作成の実務

4-1. 作成時期の検討

遺言書の作成時期は、早ければ早いほど望ましいとされています。民法第961条により、15歳以上であれば誰でも遺言書を作成することができます。

特に重要なのは、判断能力が十分なうちに作成することです。認知症になってからでは遺言能力が問題となり、作成が困難になる可能性があります。また、不慮の事故などの予期せぬ事態に備えて、早めの準備が推奨されます。

以下のようなライフイベントが遺言書作成の適切なタイミングとなります:

  • 結婚や出産による家族構成の変化
  • 不動産取得などの大きな財産変動
  • 事業承継の検討開始時
  • 健康状態の変化を感じたとき

4-2. 遺言書の形式選択

遺言書の形式は、主に公正証書遺言と自筆証書遺言の2つから選択します。

公正証書遺言は、公証人の面前で作成する最も確実な方式です。法律の専門家である公証人が作成に関与するため、形式不備による無効のリスクがほとんどありません。

自筆証書遺言は、遺言者が全文を自筆で作成する方式です。費用をかけずに作成できる反面、方式違反のリスクがあります。2019年からは法務局での保管制度が創設され、紛失や偽造のリスクを軽減できるようになりました6

4-3. 記載すべき内容と注意点

遺言書には以下の内容を明確に記載する必要があります:

財産に関する事項として、相続分の指定や遺産分割方法の指定、遺贈などを記載できます。不動産は登記簿どおり、預金は金融機関名、支店名、口座番号まで具体的に記載します。

身分に関する事項として、子の認知や未成年後見人の指定なども可能です。また、遺言執行者の指定も重要な記載事項となります。付言事項として、遺産分割の意図や家族への想いを記載することで、遺言の内容についての理解が深まり、円滑な執行が期待できます2

4-4. 専門家への相談方法

遺言書作成にあたっては、以下の専門家に相談することができます:

行政書士は、書類作成の専門家として遺言書の作成支援が可能です。特に行政書士は比較的費用が安価で、シンプルな内容の遺言書作成に適しています。

弁護士は、法律の専門家として相続トラブルの予防も含めた包括的なアドバイスが可能です。特に家族関係が複雑な場合や、トラブルが予想される場合は弁護士への相談が推奨されます。

複数の専門家に相談して比較検討することが望ましいでしょう。相談の際は、家族構成や財産状況、希望する相続の方法などをあらかじめ整理しておくことが重要です。

第5章:遺言書作成後の管理と見直し

5-1. 適切な保管方法

遺言書の保管方法は、その種類によって最適な方法が異なります。公正証書遺言の場合は、作成した公証役場で原本が半永久的に保管されるため、最も安全です。遺言者と遺言執行者には正本と謄本が渡されます。

自筆証書遺言の場合は、法務局の遺言書保管制度を利用することが推奨されます。法務局では、原本を遺言者の死亡日から50年間、電子データは150年間保管します。この制度を利用することで、紛失や改ざんのリスクを防ぐことができます。銀行の貸金庫での保管は、一見安全に思えますが、相続発生時に金庫が凍結され、遺言書の取り出しが困難になる可能性があるため、推奨されません。

5-2. 定期的な見直しのポイント

遺言書は定期的な見直しが重要です。特に以下の場合には見直しを検討する必要があります:

家族構成の変化(結婚、離婚、出産など)や財産状況の変動があった場合は、遺言内容の修正が必要になることがあります。また、相続に関する法律や税制は頻繁に改正されるため、それらの変更に対応することも重要です。ただし、財産状況に変化があっても、財産承継の方針に変更がない場合は、必ずしも書き換える必要はありません。

5-3. 家族への説明と共有

遺言書の存在は、家族(相続人)全員に伝えることが望ましいです。遺言書の存在を誰にも知らせないと、書いていないのと同じ結果になりかねません。

特に、一部の相続人にのみ伝えると、改ざんの可能性や、その相続人が亡くなった場合に誰も知らなくなるリスクがあります。遺言書の内容を説明する際は、財産分配の理由や想いも併せて伝えることで、相続人の理解を得やすくなります。これにより、将来の相続トラブルを防ぐことができます。

5-4. 関連書類の整理

遺言書に関連する重要書類は、適切に整理して保管する必要があります。具体的には以下の書類を整理します:

相続手続きに必要な戸籍謄本、財産目録、納税関連書類などは、カテゴリーごとに分類し、インデックスを付けて管理します。これらの書類はデジタル化してバックアップを作成し、原本は耐火金庫などの安全な場所に保管することが推奨されます。

また、遺言書の内容に関連する不動産登記簿謄本、預貯金通帳、保険証書なども整理して保管します。これにより、相続発生時にスムーズな手続きが可能となります。

第6章:よくある質問と回答

6-1. 遺言書作成の費用

遺言書の作成費用は、選択する方式によって大きく異なります。自筆証書遺言は最も安価で、必要書類の取得費用のみで0円~3,000円程度で作成できます。

公正証書遺言の場合は、遺産の価額に応じて費用が変動します。1,000万円から1億円の遺産の場合、公証人手数料は2万3,000円から4万3,000円の範囲となります。これに証人の日当や必要書類の取得費用が加わり、総額で10万円~25万円程度となります。

専門家に依頼する場合の費用は以下の通りです:

  • 弁護士:20万円~75万円
  • 司法書士・行政書士:7万円~15万円4

6-2. 作成から発効までの流れ

遺言書は作成者の死亡時に効力が生じます。公正証書遺言の場合、作成時に遺言者と証人2名の署名捺印が必要です。原本は公証役場で保管され、正本と謄本が遺言者に渡されます。

遺言が効力を生じた後は、遺言執行者が遺言の内容を相続人に通知し、財産目録を作成します。その後、遺言の内容に従って財産の分配や各種手続きを行います6

6-3. 遺言書の無効・取消

遺言は、遺言者の生前であれば、いつでも撤回や変更が可能です。新たな遺言を作成することで、以前の遺言の全部または一部を撤回できます1。ただし、以下の場合は遺言が無効となる可能性があります:

  • 法定の方式に従っていない場合
  • 遺言能力がない状態で作成された場合
  • 強迫や詐欺により作成された場合

6-4. 遺留分との関係

遺留分は、一定の相続人に保証された最低限の相続分です。配偶者や子供などの相続人は、遺言の内容にかかわらず、遺留分を請求する権利があります。遺留分の割合は以下の通りです:

  • 直系尊属のみが相続人の場合:遺産の3分の1
  • それ以外の場合:遺産の2分の1

まとめ:遺言書作成の重要性と次のステップ

遺言書は、相続トラブルを防ぎ、確実な財産承継を実現するための重要な法的文書です。作成にあたっては、以下の点に留意することが重要です:

  1. 早めの作成を心がける
  2. 自身の状況に適した遺言書の形式を選択する
  3. 必要に応じて専門家に相談する
  4. 定期的な見直しと適切な保管を行う

特に複雑な家族関係がある場合や事業承継が必要な場合は、専門家に相談しながら、慎重に遺言書を作成することが推奨されます。遺言書の作成は、残された家族の未来を守るための重要な準備となります。

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